赤ちゃんが欲しい!
「いつか大切な人の子どもを産んで、2人で愛情を持って育てたい」と願っているカップルは少なくないと思います。
しかし、スムーズに妊娠・出産できるカップルばかりではないのが現実です。
なかなか赤ちゃんを授かれないというカップルも少なくありません。
2人で様々な工夫をしているのに思ったような結果が得られないと、徐々に相手との関係も冷めてきてしまいますよね。
かといって、本格的に不妊治療を行おうと思えば、それなりの費用も時間も必要になります。
不妊に悩む人は少なくない
現代の日本では、不妊に悩んでいる人は決して少なくありません。
ミキハウスの出産準備サイトによると、不妊を心配したことがある夫婦は31.1%にも上ります。
その背景には、晩婚化・晩産化のほか、男性側女性側共に生殖機能のトラブルなどがあると言われています。
晩婚化・晩産化が進んだ理由の一つとして、女性の社会進出が挙げられます。
現代では、女性も仕事を持ち、働きに出ることが珍しくありません。仕事のキャリアのことを考えると、結婚・妊娠・出産というライフイベントが後回しになってしまうのです。
また、最近では「2人目不妊」に悩む夫婦も増えています。
1人目の子どもがある程度手を離れたのでもう1人子供を持ちたいと思っても、1人目を生んだ年齢が遅かったために、なかなか2人目を授かれなくなるというものです。
不妊に悩む人はたくさんいますが、その悩みの形は人それぞれです。
他人と比べて必要以上に「自分はまだマシだ」と思ったり、「もっと辛い人がいるのだから、自分は我慢しなければ」と思ったりしないようにしましょう。
どうして妊娠しないの?
では、どうしてなかなか妊娠することができないのでしょうか。
妊娠しない原因を簡単に見ていきましょう。
女性にも男性にも原因があります
妊娠・出産となると「女性のこと」と思われがちですが、それは間違いです。不妊は女性だけではなく、男性にも原因があることがあります。
不妊に悩むカップルの男性も、ぜひ「自分のこと」として不妊を受け止めてください。
男性と女性、どちらが欠けても赤ちゃんを授かることはできません。
「自分には関係ない」「自分に原因はない」と思い込まず、男性も女性も互いのことをしっかり知っておきましょう。
~女性側に見られる主な原因~
女性側に見られる主な原因は次のようなものがあります。
排卵障害
何らかの原因で、卵巣の機能に異常が起きた状態です。
卵巣に異常が起きる原因には、ストレスやホルモンバランスの異常、過度なダイエットなどが挙げられます。
排卵障害がみられる人には月経不順が多く見られるので、月経周期が25日~38日の間に当てはまらなかったり、月経が来なくなってしまった場合は婦人科を受診しましょう。
子宮の異常
子宮内膜症など子宮の異常が不妊の原因であることがあります。
月経痛が重い人や経血の量が多い人などは、一度婦人科で相談するようにしましょう。
特に、月経のたびに強い痛み止めを飲んでいるという人は要注意です。
一方で、極端に経血の量が減ってしまう異常もあります。
卵管の異常
卵子の通り道である卵管に異常がある場合も不妊になります。
例えば、「性器クラミジア感染症」などで卵管が詰まってしまっていたり、狭くなっていたりすると、卵子が卵管を通ることができず、受精が難しくなってしまうのです。
女性の場合、性器クラミジア感染症に感染しても、症状が出ないことが珍しくありません。
そのため、自分が感染していることに気付かない人も多いです。
頸管の異常
通常は排卵が起きるタイミングでおりものが増えますが、排卵のタイミングを迎えてもおりものが増えない場合は頸管に異常がある場合があります。
免疫の異常
何らかの原因で、免疫に異常が見られる場合も不妊になります。
特に、精子の活動を止めてしまう抗体や精子が卵子にたどり着くのを妨害する抗体が分泌されると、どんなに活発な精子でも動きを止められてしまうため、受精まで至らないのです
卵管の中でも精子を妨害する抗体が分泌されるので、免疫に異常がある場合、人工授精を行ってもなかなか妊娠に至らないことが珍しくありません。
~男性側に見られる主な原因~
では、男性側の原因にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
性機能障害
男性の場合、思うように勃起しなくなるEDや、膣内での射精に困難を伴う「腟内射精障害」といった「性機能障害」が原因の一つに挙げられます。
性機能障害の背後に動脈硬化や糖尿病などの大きな病気が隠れていることもあるので、心配な人は一度病院で検査を受けるようにしましょう。
精子の質の低下
精液に含まれる精子の数が少なくなったり、精子の活動が低下したりする「精子の質の低下」も不妊の原因です。
精子の量が少なくなれば、受精できる精子そのものの数が少なくなってしまいます。
また、精子の活動量が鈍くなれば、卵子まで到達することができなくなり、受精に至りません。
このように男性側の受精する力が弱まっている状態を「造精機能障害」といいます。
無精子症
精液に含まれる精子の数が全くなくなってしまう状態を「無精子症」といいます。
無精子症の場合、当然ですが、精子がないのでセックスをしても受精にまで至りません。
無精子症には、精巣から精子が出てこなくなる「閉塞性無精子症」のほか、閉塞はしていないのに精子が全く作られていない無精子症もあり、その原因はまだはっきりと分かっていません。
一つの説として、閉塞性無精子症の原因には、先天性両側精管欠損症や精巣上体炎が治った後の炎症性閉塞などがあるといわれています。
原因不明のこともある
女性側・男性側それぞれの原因を解説しましたが、中にはどうしても原因がわからない不妊症もあります。
原因が明らかな場合もそうでない場合も、「なかなか赤ちゃんを授かれないなぁ」と思ったら、パートナーと二人で不妊症に力を入れている産婦人科を訪れてみましょう。
不妊治療にはどんなものがあるの?
大まかに原因をご紹介しましたが、今度は不妊治療についてお話しましょう。
不妊治療を一口にいっても様々な方法があります。
ここでは、主な不妊治療の方法を簡単に解説したいと思います。
タイミング法
「タイミング法」は、排卵のタイミングとセックスをするタイミングを合わせて、妊娠しやすくする方法です。
一般的に、排卵日の2日前から排卵日までの間にセックスをすると妊娠しやすいと言われています。
そこで、超音波検査や尿検査を行って排卵のタイミングを見極めるのです。
女性の場合、排卵のタイミングは基礎体温からも推測することができます。自分の体の状態を知るためにも、できるだけ基礎体温を付けるようにしましょう。
排卵誘発法
「排卵誘発法」は、飲み薬や注射などで排卵を起こして受精しやすくする方法です。
通常排卵がない人に行われますが、人工授精や体外受精の成功率を高めるために行われることもあります。
人工授精
「人工授精」は、採取した精液の中から元気な精子だけを取り出して、直接子宮の中に注入する方法です。
妊娠しやすいタイミングで行うことで、より成功率を高めることができます。
一度で妊娠する人もいれば、何度行っても妊娠しない人もいます。
日本生殖医学会によれば人工授精を受ける平均回数は4.6±3.6回とされており、人工授精での妊娠を目指すには少なくない時間と費用が必要であるといえるでしょう。
体外受精
「体外受精」は、体の中から取り出した卵子と精子と、体の外で受精させて子宮に戻す治療法です。
受精が上手くいくと、受精卵は分裂を繰り返し、「胚」という状態になります。
受精後2日から5日ほど胚を育ててから子宮内に戻すことで、より妊娠率が高くなるとされています。
顕微授精
「顕微授精」は、体の中から取り出した卵子に、直接精子を注入する方法です。当然卵子も精子も肉眼では見えないので、顕微鏡を使って行います。
卵子に注入するのは、1つの精子のみです。細いガラス針を使って注入します。
顕微授精は、人工授精や体外受精など様々な方法を試してみても思うような結果が得られ無かった場合が多いようです。
様々な治療法をご紹介しましたが、どの方法も「卵子と精子に受精する能力が残っている場合」にのみ有効な方法です。
卵子や精子の働きが鈍かったり、その力が失われていたりすると、赤ちゃんを授かることが難しくなります。
不妊の原因や医師の方針によっても治療法が変わってくるので、信頼できる医師の下で治療を受けるようにしましょう。
焦らないことが大切
なかなか赤ちゃんを授かれないと焦りも生まれてきます。
しかし、「授かりもの」というぐらいですから、妊娠のタイミングは神のみぞ知るものです。
不妊になるとパートナーとの関係が悪化してしまうカップルも珍しくありません。
2人の時間と関係を大切にしながら、焦らずに信頼できる医師と三人四脚で治療に当たるようにしましょう。