ケアしているつもりなのに……臭いがしている気がするのはなぜ?
口臭がしているような感じは、口の中が乾いていたり、唾液の味などで、なんとなく自覚できます。
このような時、歯磨きやマウスウォッシュ、ミントやガムを食べるなどといった対処をすることが多いと思います。
しかし時間が経つとまた、口の中に違和感を感じる場合、そもそも口の中が口臭を起こしやすいコンディションになってしまっているかも知れません。
口臭を起こしやすい、口内環境になる原因は複数考えられます。その主な原因を見ていきましょう。
口臭の元になる主な原因
唾液の不足
口臭はほとんどの場合、口の中で、原因となる菌が繁殖することによって起こります。
原因菌が繁殖しやすいのは、口の中のphが酸性に傾いているときです。そして、口の中のphが酸性に傾かないようにする上で大事なのが、十分な唾液の分泌なのです。
十分な唾液があれば、口の中は中性に保たれるので、口臭は発生しにくくなります。
食べ物
口内のphが酸性になりやすい食べ物を食べることも良くありません。
特に糖質を多く含んだ食べ物は、口臭の原因になりやすいです。
甘いものを食べた後しばらく、口の中がすっぱいような感じが残らないでしょうか。これは、口の中にいる菌が糖質を分解して酸を作り出しているためなんです。
このことによって口内のphは酸性に傾き、口臭の原因菌が増えやすい環境になってしまいます。
舌苔
また、舌の上に付いた、舌苔と呼ばれる付着物が多過ぎることも、口臭が発生しやすい条件のひとつです。
舌苔は、口の中で剥がれた細胞や、食べかすが舌の上に残って作られます。
舌苔には口臭の原因菌が繁殖しやすくなります。
歯科的な問題
歯石がたまることや、歯周病、虫歯といった、歯や歯茎の状態の悪化も、口臭の大きな原因になります。
普段のケアで落とし切れていない歯垢が固まると、歯石になってしまいます。歯石には細菌が溜まりやすく、臭いの原因となります。
歯石が溜まることは、歯茎を化膿させ、歯周病の原因にもなります。歯周病になるとさらに強い口臭を発生させてしまいます。
進行してしまった虫歯も、空いた穴に食べ物が溜まったり、神経を腐敗させるなど、口臭の元となることがあります。
口臭の起こりにくい口内環境をつくろう
口臭がしてからケアをしても、効果は一時的で、あまり高くありません。
そのため、普段から口臭の起きにくい環境を保つことが、より良い解決策になります。
日常から、口臭の原因菌が増えやすくなる原因をクリアしておくことで、良い口内環境に近づけることは出来ます。
口臭のしにくい口内環境は、口の中のph、歯垢や歯石の少なさ、歯や歯茎の健康状態などが、トータルに良くなることで得られます。
そのような口内環境にしていくための具体的な方法を見ていきましょう。
唾液を分泌しやすくする
口の中のphが酸性に傾くと口臭が発生してしまいます。
口臭を抑える効果が最も高いのは、十分な量の唾液が出ている状態を保つことです。
唾液が出やすいのは、気持ちがリラックスした状態のとき。できるだけストレスの少ない生活を心がけることで、口臭も抑えられます。
とはいえ実際は、ストレスのかかる場面は多いですよね。とても緊張した場面では、口の中がカラカラになってしまうものです。そのようなときの対策として、ペットボトルなどで水を携帯しておくようにしましょう。
水を飲むことで口の中が潤い、原因菌の繁殖が抑えられます。また、定期的な水分補給することで、唾液が分泌されやすくなります。
口で呼吸する癖のある人は、唾液が乾燥しやすくなりますので、鼻呼吸に変えることも大切です。
また、口の中を緊張させてぴたっと閉じた状態にせずに、口の中で空間をつくり、舌をある程度動かすように癖づけましょう。舌を動かすことで唾液腺を刺激することができます。
口臭を起こしやすい食べ物を控える
口の中のphを酸性に傾かせやすい食べ物を、食べ過ぎないようにしましょう。
特にphを酸性にしやすいのは、甘いものや炭水化物といった糖質の多い食べ物です。
やむをえず糖質の多いものを食べた後は、丁寧に歯磨きをしましょう。
しかし丁寧に歯磨きをしても、食べ物の残りかすを完全に除くことは難しいです。
普段から糖質の多い食べ物を、出来るだけ控えることは、口臭を発生しにくい口の中の環境を保つことにつながります。
乳製品や肉などのタンパク質の多い食べ物を食べた後も注意が必要です。タンパク質は舌の上につく舌苔を増やしやすいといわれています。
タンパク質系のものを食べた後は、水を口に含んで下を上あごでこすり、舌苔を落とすようにすることがおすすめです。
舌は優しく掃除しないと、粘膜を傷つけてしまいます。歯ブラシや舌専用のクリーナーを使うとしても、あまり強くやり過ぎることは避けましょう。
体調のケア
口の中の対策だけでなく、体全体の調子を整えることが、口臭を抑えることにつながります。
体調が良くないと、免疫力が下がってしまいます。
免疫力が下がることによって、口の中の粘膜が口臭の原因菌の繁殖を抑えることができなくなってしまうのです。
また唾液の質と量も、体調に影響されます。
体調を整えるために、睡眠、運動、食事と、トータルに対処することが大事です。
さらに、口臭の原因のほとんどは口腔内のトラブルですが、まれに胃の不調が口臭につながっている場合があります。
胃は、口と食道によって直接つながっているため、特に、胃炎や胃潰瘍といった疾患があれば、口臭の原因になると言われています。
口の中の原因をケアしても、口臭が改善しないときは、胃の不調も疑ってみましょう。
ストレスのコントロール
体調を整える上でも、特に考えたいのがストレスのコントロールです。
ストレスは体にも良くありませんが、ストレスを感じているときは、唾液も出にくくなり、直接口臭がしやすい条件にもなってしまうためです。
口臭に悩む人の中で、自分の口臭が気になって、それ自体がストレスになり、唾液も出なくなるという悪循環になっているパターンが少なくありません。
口臭は、市販の口臭チェッカーをはじめ、ある程度までチェックできる方法もありますが、他の人が感じている臭いは完全にはわからないものです。
口の中に変な味がしたり、話し相手が手を鼻に持っていく仕草をしたからといって即、口臭がしているとは限りません。
日常の口臭対策をある程度したなら、後は気にし過ぎないことも、ストレスを溜め込まないためには大事になります。
どうしても口臭がしているかどうか気になる、という人は、病院の口臭外来で客観的なチェックをしてもらえるので、受診することも一つの方法です。
歯周病、虫歯といった症状は、まずケアする
歯周病や虫歯は口臭の大きな原因になります。口臭の予防をするなら、これらの歯科的な問題は、真っ先に除いておくことが大前提になります。
自覚できる症状があるなら、早めに歯科で治療するようにしましょう。
歯周病や虫歯は、ある程度まで進行してしまうと、自然に治すことは難しくなります。歯や歯茎に違和感を感じたらすぐに歯科を受診することが大切です。
また歯石も、口臭の原因になります。
歯石は、自分の力で落とすことは難しいので、定期的に歯科で歯石を清掃してもらいましょう。
口臭の原因をひとつずつクリアしていこう
口臭の原因は一つではありません。様々な原因が合わさって発生してしまいます。
長い目で体調を整えることも必要になりますので、あせらず一つ一つ対策していきましょう。
また主な原因の中でも、口臭を気にし過ぎることのストレスが、逆に口を乾かせるといった問題もあります。
臭いの問題はデリケートなのでどうしても気になってしまうものですが、ある程度のケアをしたなら、できることはやった、と割り切ることも必要です。
歯や歯茎の疾患も口臭の大きな原因になります。これらの疾患は自覚症状がない場合もありますので、歯科で定期的に検診を受けるようにしましょう。