ワキガは治療できるの?
思春期ぐらいから気になる人が増えてくるといわれている「ワキガ」……ワキガ体質の人にとって、ニオイ対策はとても重要ですよね。
ドラッグストアなどでは制汗剤やデオドラントクリームがたくさん市販されていますが、それらはあくまでも「対策アイテム」であって根本治療を行ってくれるアイテムではありません。
できることなら、毎日のニオイケアから解放されたいと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
「ワキガを気にせず過ごしたい!」
「毎日のケアから解放されたい!」
という人の中には、ワキガの手術を検討している人もいるかもしれません。
一般的に、ワキガは制汗クリームや汗の分泌を抑える薬の服用などで治療が可能だと言われています。
しかし、クリームの使用や薬の服用などは、あくまでも対症療法でしかありません。
根本治療となると、ワキガの原因となる汗を分泌する「アポクリン腺」の働きをなくす必要があります。
脱毛は根本治療になりません
ワキガは、わきの下にある「アポクリン腺」という器官から分泌される汗が原因だといわれています。
アポクリン腺から出る汗には脂質やたんぱく質、アンモニア、糖質などの成分が含まれており、皮膚の表面にいる菌がこの汗を分解する際にワキガ独特のニオイが出るためです。
そのため、ワキガを抑えるにはワキ汗のコントロールが効果的だといわれています。
人によっては「わきの下の毛を脱毛したらワキガが軽減された」という人もいますが、それはわきの下に汗が溜まってもムレにくくなったためです。
わきの下に毛があると、どうしても汗が溜まりやすくなり、菌による分解も活発になります。しかし、ニオイの元となる汗が溜まらなくなるため、菌の活動が抑えられるのです。
わきの下の毛を脱毛するとワキガが軽減される人は少なくありませんが、根本治療を考えるなら脱毛以外の方法を考えたほうが良いでしょう。
ワキガ治療の様々な方法
では、ワキガの悩みは、諦めるしかないのでしょうか?
現代では、様々な方法でワキガを治療することができます。
代表的な方法を見て行きましょう。
ボトックス注射で汗を抑える
ワキガの治療で、最も手軽なのが「ボトックス注射」です。
わきの下に、ボツリヌス菌から抽出したたんぱく質の一種を注射する治療法です。
処置時間はわずか5分と短く、日帰りで行えるため非常に人気があります。
ボトックス注射をすると、汗の量が抑えられるためワキガが軽減されるといわれています。
ボトックス注射の効果は半年から1年程度で、1度注射を受ければ一生ワキガに悩まされることがなくなるものではありません。
比較的軽度のワキガに悩んでいる人には効果が大きいとされていますが、中等度以上のワキガの人は満足のいく効果が得られない場合もあるので、ボトックス注射を受けたい場合は信頼できる医師によく相談することが重要です。
レーザーでアポクリン腺の活動を抑える
レーザーを照射することで、アポクリン腺・エクリン腺の活動を抑える治療法もあります。
「マイクロレーザー」というレーザーでアポクリン腺・エクリン腺にダメージを与え、ボトックス注射よりも確実に汗腺の活動を抑えて、わき汗とワキガを軽減してくれるものです。
ただし、ボトックス注射と違って1mm程度の傷跡が残ります。
また、治療時間も両脇で20分程度かかります。
1度レーザー治療を受けると1年以上効果が持続するといわれていますが、完全にワキガの悩みから解放されるというものではありません。
手術でアポクリン腺を除去する
最も確実なワキガ治療法は手術です。
手術で、ワキガの原因となる汗を分泌するアポクリン腺を取り除けば、ワキガに悩まされることもなくなります。
しかし、手術の方法によってはわきの下に傷跡が残ってしまったり、未熟な医師の場合はアポクリン腺を取り除ききれなかったりすることがあるので、注意が必要です。
もちろん、それなりに費用も掛かります。
手術時間は1時間から1時間半程度で日帰りも可能ですが、入浴やシャワーは避けなければなりません。また、人によっては麻酔が切れた後痛みが出ることもあります。
アポクリン腺除去手術の種類
ワキガを根本的に解決してくれる「アポクリン腺除去手術」ですが、一口に手術といっても様々な方法があります。
傷跡が残りにくいものや痛みが少なくて済むものもあるので、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
直視下摘除法
「直視下摘除法」は、医師が直接目で見てアポクリン腺を取り除く方法です。
医師が直接患部を見るため、わきの下を少し大きめに切開する必要があります。
切開するため、術後は患部が腫れることも珍しくありません。
人によっては傷跡が気になることもあるので、「できるだけ傷跡を残したくない」と考えている人は他の手術法を検討しても良いでしょう。
医師の技術によってはアポクリン腺の取り残しがあることもあり、その場合は再手術が必要になります。
非直視下摘除法
「非直視下摘除法」は、医師が患部を直接観察することなくアポクリン腺を取り除く方法です。
直視下摘除法に比べて傷跡が小さく済むというメリットがあります。
主な非直視下摘除法は次の3つです。
①皮下組織吸引法
わきの下に1cm程度の穴を開け、そこから細い管を入れてアポクリン腺を吸い取る方法です。
傷跡は目立ちませんが、アポクリン腺の取り残しがあるとワキガが再発してしまいます。
②超音波吸引法
超音波でアポクリン腺を焼いてから、皮下組織吸引法のように管で吸い取る方法です。
皮下組織吸引法よりも高い効果が期待できる一方、アポクリン腺を取り残してしまうことも珍しくないので、ワキガ再発のおそれがあります。
③下組織削除法
わきの下を1cm程度切開し、皮膚の下の組織を削り取ることでアポクリン腺を取り除く方法です。
傷跡は目立ちませんが、手術後は患部を1週間程度固定しなければなりません。
また、未熟な医師が担当すると、皮膚に穴が開くといったトラブルの心配もあります。
ミラドライ
「ミラドライ」は、アポクリン腺とエクリン腺にマイクロ波を当てて、汗を分泌する汗腺を破壊することでワキガを治療する方法です。
一時的に患部が腫れることがありますが、手術のように傷跡が残ることはありません。
また、効果も手術のように半永久的です。
一度破壊された汗腺が再び活動を始めるということは無いので、再発の心配がないのもポイントです。
サーミドライ
「サーミドライ」は、ミラドライと同じようにアポクリン腺とエクリン腺に高周波を当てて、汗腺を破壊する治療法です。
細い管をわきの下に入れて、そこから高周波を当てるので、より確実にアポクリン腺とエクリン腺を破壊することができます。
麻酔を使用して行うため、痛みはほとんどなく、患部の腫れも3日から1週間程度で治まるため、日常生活に支障が出る心配も最小限です。
シャワーであれば当日から浴びることができるのもポイントといえるでしょう。
知っておきたい治療の注意点
ワキガ治療には様々な方法がありますが、どんな方法で治療するにせよ、次に解説する4つの注意点は押さえておきましょう。
アポクリン腺を取り残してしまう可能性
どんな手術でも100%・確実というものはありません。
医師の技術によっては、アポクリン腺を取り残してしまう可能性があります。
アポクリン腺が1つでも残っているとワキガが再発してしまうので、治療を受ける際はワキガ治療の経験が豊富な意思を選ぶようにしましょう。
他の場所から大量に汗が出る可能性
ワキガの治療を行ったことで、ワキ汗が少なくなったという人は珍しくありません。
一方で、行き場を失った汗が別のところから大量に出てくる可能性もあります。
例えば、背中の汗が多くなったり、額の汗が増えたりすることがあります。
あまりに汗の量が多い場合は、一度ワキガ治療を担当した医師に相談するようにしましょう。
他の場所のニオイがキツくなる可能性
アポクリン腺は、わきの下だけに存在しているものではありません。
足の付け根や耳の裏など、体の様々なところに存在しています。
ワキガ治療の結果ワキガは解消されたものの、他の場所のニオイがキツくなってしまう可能性もあるので、注意が必要です。
それまでは気にならない程度だったのに、手術後から急にニオイが気になるようになったという人もいます。
生活習慣を見直すとともに、こまめに汗を拭いたり、デオドラントクリームを使用したりするなど、日常生活に対策を取り入れましょう。
あまりにニオイがキツい場合は、医師に相談することも一つの方法です。
手術痕が目立ってしまう可能性
手術の方法によっては、手術痕が目立ってしまう可能性があります。
色白の人や、傷跡や痣が残りやすい人は、事前に医師とよく相談して治療方針を決めるようにしましょう。
費用はかかりますが、傷跡が残りにくい方法を選択することも大切です。
信頼できる医師とよく話し合って
ワキガはなかなか人に相談できない悩みです。しかし、現在は様々な治療法があり、治療を受ければワキガの悩みから解放される人も珍しくありません。
ワキガをどうにかして軽減したい、解消したいという人は、ぜひ勇気を出して医師に相談してみましょう。
信頼できる医師を見つけて、よく話し合って治療方針を決めることが大切です。