ひどい手汗、どうすれば良いの?
手汗に悩む人は少なくない
人間誰しも手に汗をかきます。しかし、多くの人は手が軽く湿る程度でしょう。
もし、手から汗が滴るほど汗をかくのであれば、それは手の多汗症かもしれません。
多汗症になると、手を水に浸したように大量の汗をかきます。
手の多汗症は、日常生活に支障がでることも多い多汗症です。
例えば、書類やノートなどに触れると濡れてしまったり、汗で手が滑って物が掴みにくかったりします。人によっては、手をつないだり握手をすることが怖くなってしまうこともあるでしょう。
子供の場合、手汗が原因でいじめやからかいのターゲットにされてしまったり、本人がコンプレックスを抱いてしまうこともあります。
子供でも手の多汗症の症状が見られることがあるので、「子供だから新陳代謝が活発なのね」と自己判断せず、子供が悩んでいるようなら病院に相談するなど何らかの対策を行いましょう。
どうして手汗がひどくなるの?
では、どうして私たちは手に汗をかくのでしょうか?
手に汗をかく理由の一つは「滑り止め」といわれています。
サラサラに乾燥している手より、適度に湿り気がある手のほうが物を掴んだりしやすいですよね。
2つめは「体温を調節するため」です。
体温が高くなりすぎると、私たちは汗を出して体温を調節します。
手汗にも体温調節をする働きがあるのです。
しかし、これらの理由で手に汗をかく場合は、それほど汗の量は多くありません。
もし異常なほど汗をかくのであれば、「手の多汗症」である可能性があります。
手の多汗症は、男女ともに見られる症状です。
患者の数に男女差はないことがわかっています。
手の多汗症のレベル
手の多汗症の程度は、次のレベルで表すことができます。
レベル1 手が湿っている程度。触ると汗ばんでいることがわかり、光を反射して汗が光る。
レベル2 手に水滴ができて濡れており、見た目でも汗をかいていることがわかる。
レベル3 盛んに水滴ができ、汗が滴り落ちる。
引用元:四谷メディカルキューブ
http://www.mcube.jp/operative/explanation/sweating.html
人によって程度の差はありますが、手汗が気になるようになったら対策が必要です。
手の多汗症の原因
一つの説として、体の新陳代謝を活発にする交感神経の働きで、汗を分泌する「エクリン腺」の活動が活発になり、たくさん汗が出るようになるのではないかといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
多汗症の場合、精神的な緊張や不安が汗の分泌を促すといわれていますが、手の多汗症の場合、精神的な緊張や不安があっても汗の分泌はあまり増えないとされています。
また、手の多汗症の背後に大きな病気が隠れていることもあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や糖尿病などでも汗の量が増えることがあるので、不安な場合はかかりつけの医師に相談してみましょう。
手の多汗症は、病院で相談・治療ができる症状です。
手汗を減らすための対策
少しでも汗の量を減らして、快適に生活するためにできることから対策を始めてみましょう。
手汗用の制汗剤を使ってみよう!
現在は、手用の制汗剤が市販されています。
制汗剤というと、スプレータイプのものを想像しがちですが、手用の制汗剤はクリームタイプです。
「テサラン」という商品は、クロルヒドリキシアルミニウムという成分を配合しており、汗を出すエクリン腺を収縮させ、汗が出てこないように膜を張ることで汗の量を減らしてくれる制汗剤です。
少し手汗が気になるという人は、一度使ってみると良いでしょう。
ツボ押しを試してみよう!
即効性はありませんが、ツボ押しを行うのも汗の量を減らすのに有効です。
まずは「合谷(ごうこく)」というツボを押してみましょう。
合谷は、親指と人さし指の付け根にあります。押すと痛みがあるので、見つける目印にしてください。
毎日マッサージすることで、徐々に発汗が少なくなってくるといわれています。
「復溜(ふくりゅう)」というツボもおすすめです。
復溜は体の中の水分量を調節してくれるツボです。
足の内側にあるくるぶしから、指3本分上のところにあります。
押すと痛みがあるので、見つける目印にしてください。
毎日ツボを刺激し続けることで、徐々に汗の量が減ってくるので、朝夕2回を目安に毎日刺激してみてください。
病院を受診しよう!
手の多汗症は、重度の場合は病院で相談・治療することができます。
手汗が気になる場合は、皮膚科を受診してみましょう。
皮膚科では、次のような治療を行います。
薬を使った治療
汗腺を刺激して汗の分泌を促す「アセチルコリン」が出てくるのを止める薬や、汗を出にくくする「塩化アルミニウム」の入った薬を使って治療を行います。
ボトックス注射による治療
ボツリヌス菌から作った薬を手のひらに注射して、汗腺の働きを抑えます。
1度注射すると半年ほど効果が持続しますが、自費診療になるため高額になりがちです。
イオントフォレーシスによる治療
水の入った容器に手を入れて、弱い電流を流して汗腺の働きを抑える治療法です。
定期的に治療を受けることで、徐々に汗の量を減らすことができます。
手術による治療
根本的な治療法には、手術で交感神経を切断する方法があります。
手のひらの汗腺を刺激する神経を切断することで、手に汗をかかないようにする方法です。
わきの下や額の汗も少なくすることができますが、そのかわりおなかや胸、背中や太ももなど、他の場所が汗をかきやすくなるので注意が必要です。
リラックスを心がけよう!
他の多汗症に比べて、手の多汗症は精神的な緊張・不安の影響を受けにくいといわれていますが、やはりリラックスをすることは大切です。
特に普段からストレスを感じやすい人は、自律神経が乱れがちなので、意識してリラックスできるよう工夫しましょう。
適度に体を動かしてストレス発散をしたり、趣味の時間を持つなど、ストレスを溜め込まないようにすることが重要です。
自律神経が乱れると、汗の分泌を促す交感神経の働きが活発になります。
1日の終わりに瞑想の時間を設けたりして、体と心をリラックスさせましょう。
1人で悩まず病院で相談しよう!
手汗はなかなか分かってもらえない悩みの一つです。
また、汗で手が滑って物が掴みにくくなったり、人と握手をしたり手をつなぐことが怖くなったりと、日常生活に支障をきたす悩みでもあります。
「最近手汗がひどいな」と思ったら、一人で悩まず皮膚科で相談してみましょう。