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多汗症には漢方が良い?その理由とよく使われる漢方

特に暑いわけでもないのにどんどん汗が出てくる……もしかしたら、その症状は「多汗症」からくるものかもしれません。

現在多汗症の治療には様々な方法がありますが、中でも特に注目を集めているのが漢方薬による治療です。

ここでは、多汗症の治療に使われるポピュラーな漢方薬を8種類ご紹介しましょう。

多汗症ってどんなもの?

多汗症のイメージ

特に暑いわけでもなく、辛いものを食べたわけでもないのに汗が止まらない……こんな症状に見舞われたことはありませんか?

人によっては、頭から水をかぶったのかと思うほどびっしょりと汗をかく場合もあります。

そんな症状を一般的に「多汗症」というのですが、多汗症はひどくなると大きなコンプレックスになるだけでなく、日常生活にも支障をきたす場合があるので、早めに専門家に相談するようにしましょう。

多汗症と汗っかきは違うの?

「多汗症」と書くとなんだかとんでもなく重度の病気のように思えますが、多汗症と汗っかきはどう違うのでしょうか?

多汗症と汗っかきの違いは、ずばり「日常生活に支障が出ているかどうか」を基準に判断します。

人よりも汗をかきやすいけれど特に支障が出ていない場合は「汗っかき」として良いでしょう。

しかし、手汗が原因で仕事道具が握れなかったり、ノートや資料が汗で濡れて使い物にならなくなってしまったりする場合は、多汗症といえます。

人によっては、多汗症が原因でいじめられたり、人と触れ合うことが怖くなってしまったりする場合もあるので、多汗症はその人のQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼす病気といえるでしょう。

多汗症の原因は?

悩むイメージ

では、どうして多汗症になってしまうのでしょうか?
簡単に多汗症の原因をおさらいしましょう。

遺伝的な体質

まず第一に挙げられるのが、遺伝的な体質です。
日本皮膚科学会によると、「410人の患者のうち147例(36%)に家族内発症がみられた」とのことです。

生活習慣の乱れ

辛いものや熱いものが好きな人は、そうでない人に比べると汗をかきやすいといわれています。

誰でも辛いものや熱いものを食べれば汗をかきますが、人によっては多汗症の症状が現れます。

精神的な緊張

緊張や不安など大きなストレスを感じると汗が止まらなくなることがあります。

これは、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、交感神経の働きが活発になるためです。

もちろん、ストレスを感じた人全員が多汗症になるわけではありません。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れが原因で汗がたくさん出てしまうことがあります。

特に女性は妊娠・出産や更年期によって大きくホルモンバランスが変化するので、心にとめておきましょう。

その他の病気

多汗症の背景に大きな病気が隠れている場合もあります。様々な病気で多汗症の症状が見られるので、もし気になることがあれば病院で相談してみましょう。

多汗症の主な治療法

治療のイメージ

日常生活に支障をきたすこともある多汗症は、皮膚科で治療を受けることができます。
主な治療法は次のとおりです。

塗り薬を使った治療

多汗症は、塗り薬で治療ができます。
塩化アルミニウムを塗って汗の量をセーブすることで、多汗症の症状や不快感を和らげます。

イオントフォレーシス

イントフォレーシスは、手のひらや足の裏に弱い電流を流して汗を出にくくする治療法です。

1回30分の治療を8回から12回程度行うと、徐々に汗の量が減ってくるとされています。

ボトックス注射

ボツリヌス菌という細菌から取り出した毒素を注射する「ボトックス注射」も効果があるとされています。

1回の注射で約6か月間効果が続きますが、保険が適用されない治療法なので、注射を受けるたびにそれなりの費用がかかります。

飲み薬を使った治療

ストレスからくる多汗症には、気持ちを落ち着かせる薬の服用が効果的です。

また体質を改善するために漢方薬を使う医師もいます。

漢方薬は飲んですぐに効果が出るものではありませんが、個人個人の体質に合わせて細かく薬を調合することができるというメリットがあります。

保険が適用される漢方薬もあるので、気になる人は一度漢方薬局や漢方外来などで相談してみると良いでしょう。

多汗症の治療でよく使われる漢方

漢方薬は、体質改善などを目的とした治療には大きな効果を発揮します。

いくつもの生薬を、一人ひとりの体質に合わせて調合することができるためです。

ここでは多汗症の治療でよく使われる漢方を7種類ご紹介しましょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、次のような人に向いている漢方薬です。

  • ・細かいことを気にしてしまいがち
  • ・イベントごとの前は緊張して眠れなくなってしまう
  • ・人間関係で悩みがあり、くよくよと思い悩んでしまう

柴胡加竜骨牡蛎湯は、こういった気持ちを落ち着かせるだけでなく、体の内側の熱を冷まして興奮を鎮めてくれる漢方薬です。

柴胡桂枝乾姜湯

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)は、次のような人に向いている漢方です。

  • ・体力がなく、冷え性・貧血ぎみ
  • ・神経質で細かいことが気になってしまう
  • ・ホルモンバランスの変化からイライラしやすい

高ぶっている神経を鎮め、体の内側にこもった熱を冷まし、気持ちを安らかにしてくれる漢方薬です。

黄連解毒湯

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、食生活の乱れからくる多汗症に効果があるとされています。

  • ・辛いものや甘いものが大好き
  • ・脂っこいものをよく食べる

という人は、胃腸が熱を持ちやすくなり、多汗症の症状があらわれます。

黄連解毒湯は胃腸にこもった熱を取り除いてくれる漢方薬です。

防已黄耆湯

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、水分のめぐりを整えてくれる漢方薬です。次のような人に向いています。

  • ・あまり動かなくても汗をかく
  • ・むくみやすい

このタイプの人は、胃腸の働きが鈍くなって、余分な水分の排出がうまくいかないタイプです。ぽちゃぽちゃとした水太り気味の人が多いとされています。

防已黄耆湯が胃腸の働きを助け、気を補うことで、余分な水分がスムーズに排出されるようになります。

防風通聖散

ダイエットに効果がある漢方薬として注目を集める防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)ですが、太っている人の多汗症にも効果があるとされています。

  • ・体力があり、暑がり
  • ・おなか周りが気になる
  • ・高血圧や肥満からくるむくみ・肩こりがある
  • ・便秘がちで代謝があまりよくない

これらの条件に当てはまる人には、防風通聖散が用いられます。

体を温めて脂肪の燃焼・代謝を促すことで、体内の水分のめぐりを改善し、多汗症の症状を緩和します。

加味逍遥散

ホルモンバランスの乱れからくる多汗症には加味逍遥散(かみしょうようさん)が用いられることがあります。

  • ・疲れやすくイライラしやすい
  • ・気分が安定しない

こんなタイプの人は、交感神経が活発になり、汗が出やすくなっていると考えられます。

加味逍遥散は自律神経のバランスを整えてくれる漢方薬なので、交感神経が活発になることで起こる多汗症の症状を和らげることができるのです。

女神散

女神散(にょしんさん)は血行不良など「血(けつ。体に栄養をあたえるもの)」のめぐりが悪くなったときに用いられる漢方薬です。

  • ・妊娠出産前後のイライラや不安、不眠
  • ・のぼせやめまい

これらの症状がある人に適用があります。

血のめぐりを改善し、ホルモンバランスを整えて、症状を緩和してくれる薬です。

漢方薬はオーダーメイド

多汗症の治療によく使われる漢方薬をご紹介しましたが、あくまでもこれは一例です。

漢方薬は、一人ひとりの体調や体質に合わせて、オーダーメイドで処方されます。

体質や体調によっては、ここでご紹介していない漢方薬が処方されることもあるので、詳しくは漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。

漢方で体質を改善しよう

漢方薬は、即効性には欠けますが、体質改善に効果があるお薬です。

多汗症に悩んでいる人は、一度漢方に詳しい医師のいる皮膚科や、漢方薬局で相談してみましょう。

体質に合った漢方薬を飲むことで、徐々に体質が変わり、汗の量が減ってくる人も少なくありません。

気になる場合は、ぜひ試してみてください。

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