発毛とは、自分の髪が生えてくること
発毛の定義を簡単にいうと、「自分の髪が生えてくること」です。
髪の毛のなくなってしまった場所でも、髪を生み出す毛母細胞はまだ生きていることがよくあります。
何らかの方法でその毛母細胞を活性化させれば、髪が生えてくるわけです。
また、薄毛の原因の多くはAGA(男性型脱毛症)であることがわかっています。
AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンによって、髪の成長サイクルが乱される脱毛症です。
AGAを抑制し、髪の成長サイクルを正常化させても、やはり髪は生えるでしょう。
では、育毛シャンプーや育毛マッサージなどに使われる「育毛」「養毛」という言葉はどういう意味なのでしょうか?
こちらは、髪を生やすのではなく、今ある髪を太く元気に育てることを表します。
頭皮の汚れの除去、頭皮への栄養の付加、頭皮の血行促進などによって頭皮の環境を整え、髪の成長をサポートするのが目的です。
結果として髪が生えてくることはあっても、積極的に髪を生やす効果とはいえません。
そして、カツラはもちろんのこと、他の部分の毛を移植する自家植毛も発毛には当たりません。
新しい髪が生えてきているわけではないからです。
このように、「発毛」「育毛」やそれに近い表現は明確に区別しておく必要があります。
発毛効果が最も信頼できるのは医薬品
発毛の方法は、大きく分けて2つあります。
医薬品の力を借りるか、他の方法で髪の生える環境を整えるかです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
発毛の方法1:医薬品
最も確実性の高い発毛方法は、医薬品による治療です。
現在、発毛効果が医学的に認められている成分は、わずか3種類にすぎません。
AGAの進行を抑制するフィナステリドと、その強力版ともいえるデュタステリド、そして発毛を促進するミノキシジルです。
これらはいずれも医薬品に指定されており、クリニックで処方してもらうことで入手できます。
中でもミノキシジルは一般向け医薬品として市販もされており、薬局で購入可能です。
発毛効果が認められた、最も身近な製品といえるでしょう。
かつては、大塚製薬の「リアップ」シリーズのみが流通していましたが、2018年8月には、アンファーから「スカルプD メディカルミノキ5」が発売されています。
今後もさまざまな製品が登場すると考えられ、ユーザーにとっては嬉しい流れだといえますね。
発毛の方法2:医薬品以外の方法
原則として、AGAによる薄毛は専門的な治療でしか改善できません。
AGAは男性ホルモンの影響による脱毛症ですから、頭皮環境を整える程度では、進行を抑制できないのです。
しかし、薄毛の原因がAGA以外にあるなら、医薬品を使わなくても改善できる可能性はあります。
以下のポイントに注目してみましょう。
頭皮を清潔にする
髪が正常に生えてくるためには、頭皮を清潔に保つ必要があります。
毛穴に皮脂汚れなどが詰まっていると、雑菌が繁殖して炎症を起こし、髪の成長に支障をきたすことがあるからです。
発疹だらけでボロボロの頭皮から、健康な髪が生えてくるとは思えませんよね。
髪を洗うだけではなく、揉み込むようにして頭皮を丁寧に洗ってみましょう。
食事の内容を見直す
発毛させるためには、頭皮への栄養供給も重要です。
髪はタンパク質を主体としてできており、十分な栄養がなければ作ることができません。
栄養不足の状態だと、たとえ生えてきたとしても、細く弱々しい髪になってしまいます。
肉や大豆でタンパク質を摂取するのはもちろん、ビタミンやミネラルもしっかり摂り、バランスのいい食事を心がけてください。
血行を促進する
意外と見落としがちなのが頭皮の血行です。
いくら豊富な栄養を摂取しても、血行が悪ければ頭皮の末梢血管まで届いてくれません。
頭皮マッサージを行うなどして、頭皮の血行促進に努めてください。
また、全身の血管はつながっていますから、頭皮以外の部分の血行促進も大切です。
運動や入浴によって血行を促進しましょう。
発毛方法を選ぶ時の注意点
発毛と育毛の違いを知っておけば、自分に合った方法を選ぶことができます。
でも、実際にどう使い分ければいいのかは、なかなか判断がつかないですよね。
薄毛の改善方法の選び方や、注意点について考えてみましょう。
シャンプーやサプリはサポートに使う
クリニックでAGAと診断された場合は、ミノキシジルやフィナステリドを処方してもらい、本格的な治療を始めることをおすすめします。
早い段階で発毛成分を使い、AGAの進行を阻止した方が確実だからです。
とはいえ、育毛シャンプーやサプリメント、マッサージが無意味というわけではありません。
頭皮の環境を整えたり、栄養を補ったりすることも必要だからです。
これらの方法は、発毛のサポートとして使うといいでしょう。
紛らわしい製品に注意
薬機法(旧薬事法)の関係上、「発毛する」「髪が生える」といった表現を名前や説明に使っていいのは、発毛効果が医学的に認められた製品だけです。
試しに、育毛シャンプーやサプリメントの説明を読んでみてください。
「発毛」という言葉自体が使われていないか、「発毛を補助する」などの微妙な表現にとどまっているはずです。
しかし中には、非常に回りくどい表現で、いかにも発毛効果があるかのように思わせる製品も存在します。
「これって結局、発毛効果があるの? ないの?」と迷ってしまうこともありますよね。
そんな時は落ち着いて、成分表示を見てみましょう。
先に解説した3つの成分が含まれていなければ、その製品に発毛効果はありません。
そもそも現状だと、発毛成分を含む一般向け医薬品は、薬剤師との対面販売が義務付けられています。
薬剤師の説明なしに購入できることは絶対にないので、表現に惑わされないようにしましょう。
発毛サロンに効果はあるの?
いわゆる発毛サロンは、薄毛の改善方法の1つとして広く知られています。
しかし発毛サロンでは、医学的な裏付けのある手法は用いられていません。
発毛サロンは医療機関ではないので、医療行為が一切できず、医薬品の処方も認められないからです。
「発毛」サロンという名前であっても、実際の施術内容は「育毛」の範疇にとどまります。
通う価値があるかどうかは、冷静に判断してください。
薄毛の進行に気づいたら、発毛治療を始めよう
発毛と育毛は、まったく違う意味を持っています。
すでに髪の面積が大きく減少しているのなら、必要なのは発毛です。
まずはクリニックへ行って、薄毛の原因が何なのかを特定しましょう。
原因や症状に応じて、最適な発毛方法を選んでください。