最近、抜け毛が増えた気がする……
「最近髪の毛が少なくなった気がする」
「抜け毛が増えた気がする」
そんな悩みを抱えている人は、決して少なくありません。
ブラシで髪をとかしたとき、ブラシに付いてくる髪の毛や床に落ちた髪の毛が多いと不安になりますよね。
では、どうして髪の毛は抜けるのでしょうか?
抜け毛の原因の前に、毛が抜けるメカニズムをおさらいしておきましょう。
どうして毛が抜けるの?抜け毛のメカニズム
私たちの髪の毛は全体で約10万本程度あるといわれています。髪の量が少ない人であれば、6万本から7万本です。
一つの毛穴から3本から5本の髪の毛が生えており、およそ3年から6年の周期で生え変わっています。
1日当たりの抜け毛が50~60本であれば、自然な生え変わりによるものなので心配は要りません。
髪の毛が抜けるのには、髪の毛の根元にある「毛乳頭」の働きが大きく関わっています。
毛乳頭は血液から髪の毛を作るための栄養を受け取る器官です。アミノ酸などを含む血液からたっぷりと栄養を受け取って、髪の毛を成長させています。
髪の毛は1日で0.3mm~0.6mm程度伸びるといわれているんですよ。
しかし、ストレスやホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰な分泌などで毛乳頭に充分な栄養が届かなくなると、毛乳頭が髪の毛を成長させることができなくなり、髪の毛が抜けてしまうのです。
様々な抜け毛のタイプ
抜け毛が増える原因にはストレスや皮脂の過剰分泌などが挙げられますが、原因を知る前にまずは代表的な抜け毛のタイプを具体的に見ていきましょう。
円形脱毛症
円形脱毛症は、比較的多く見られる脱毛の症状です。
頭に10円玉ぐらいの大きさの脱毛が見られます。
円形脱毛症と一口にいってもいくつかのタイプがあるので詳しく見ていきましょう。
1.単発型
最もよく見られる初期症状です。
何の前触れもなく頭に10円玉大の脱毛箇所ができます。
症状が現れる前兆として頭のかゆみや大量のフケなどが見られることもあります。
60%の人は自然に治癒しますが、放っておくと症状が深刻化することもあるため、できるだけ早いうちに病院を受診しましょう。
2.多発型
10円玉大の脱毛箇所が2か所以上できる症状です。
単発型が進むと、多発型になると言われています。
脱毛箇所がつながって大きな脱毛部分になることもあります。
また、多発型に進んだ段階から、頭だけでなく体のさまざまなところに円形脱毛ができる場合もあります。
3.びまん型
頭全体で平均的に髪の毛が抜けるタイプの円形脱毛症です。
頭全体の髪の毛が抜け落ちたり、体の他のパーツの毛が抜け落ちたりすることもあります。
難治性の円形脱毛症といわれていますが、信頼できる医師と一緒に根気強く治療することが大切です。
4.蛇行型
円状に脱毛するのではなく、くねくねと蛇行した形に脱毛するのが特徴です。
後頭部や側頭部の生え際によく見られます。
大人よりは子どもに比較的多く見られる円形脱毛症です。
円形脱毛症は、自分の免疫細胞が毛根部分をあやまって攻撃してしまうことで引き起こされます。
以前は「ストレスが原因で発症する」と考えられていましたが、最近の研究で、ストレスは要因の一つに過ぎないことがわかってきました。
また、円形脱毛症はアトピー性皮膚炎や喘息といったアレルギー疾患とも大きなかかわりがあることがわかってきました。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、ホルモンバランスの乱れで皮脂の分泌が過剰になり、皮脂が毛穴を塞いでしまうことで炎症などが起き、毛が抜けてしまう症状です。
私たちの毛穴の周りには、さまざまな常在菌が住んでいます。
皮脂が過剰に分泌されると、その皮脂を餌に常在菌が繁殖し、炎症が起きてしまうのです。
炎症が起きると毛根にまでダメージが及び、髪の毛が抜け落ちてしまいます。
脂漏性脱毛症は、放っておくと脂漏性皮膚炎などを引き起こします。
いつもより頭がべたつく、髪の毛がたくさん抜けるなどの症状がみられた場合は、早めに病院を受診しましょう。
ストレスによる自己抜毛症
抜け毛の原因の中には、自分で髪の毛を抜いているというのもあります。
ストレスによる自己抜毛症は、無意識のうちに自分で髪の毛を抜いてしまう症状です。
大きなストレスがかかることで引き起こされる一種の自傷行為といわれています。
病気や薬によるもの
病気の中には、副次的な症状として脱毛を伴うものがあります。
また、薬の影響で脱毛が起きている場合もあります。
もし治療中の病気があったり、飲んでいる薬があったりする場合は、その影響による脱毛も視野に入れて医師や薬剤師に相談してみましょう。
男女別に見る主な抜け毛の原因は?
一口に抜け毛といっても、男性と女性では原因が違うことも珍しくありません。
ここでは男女別の主な抜け毛の原因を見ていきましょう。
男女共通の抜け毛の原因
男女共通の抜け毛の原因
まずは男女共通の抜け毛の原因です。
毎日の生活と深く関わっているので、まずは生活習慣の乱れをチェックしてみましょう。
生活習慣や食生活によるもの
男性の脱毛では「生活習慣や食生活に原因がある脱毛」も多く見られます。
あなたは毎日の食事を、バランス良く食べていますか?
バランスの悪い食生活は、抜け毛の原因の一つです。
毛髪を作るには、原料となる栄養が必要です。肉や炭水化物ばかりでなく、魚や野菜もバランス良く食べるようにしましょう。
また、頭を洗った後ドライヤーを使わないのも抜け毛の原因になります。
頭皮に水分が残った状態だと、毛穴周りが蒸れてしまいます。
雑菌が繁殖しやすくなり、髪の毛も抜けやすくなってしまうのです。
整髪料なども抜け毛の原因になります。
身だしなみを整えるためと頭皮にまで大量のジェルやワックスを付けていませんか?
ジェルやワックスは、頭皮に少なからず刺激を与えます。
その刺激が引き金となって抜け毛が増えることもあります。
飲酒や喫煙
タバコの煙には、二酸化炭素やタール、ニコチンだけでなく、微量の一酸化炭素も含まれています。
一酸化炭素は血液中の「ヘモグロビン」と結びつきやすく、ヘモグロビンと結びついた一酸化炭素は体中に運ばれて毛細血管の壁に小さな傷を付けます。
すると、毛細血管は傷つけられないように硬くなり、血行が悪くなってしまうのです。
血行が悪くなると、髪の毛を作るために必要な栄養素が十分に供給されなくなってしまいます。結果として、抜け毛が増えると考えられています。
また、過度の飲酒も抜け毛には大敵です。
喫煙ほど大きな影響はなく、適量であれば体に良いとされていますが、飲みすぎは抜け毛を増やす原因です。抜け毛だけでなく、体にも良くありません。
遺伝によるもの
抜け毛や薄毛になりやすい体質は、遺伝することがわかっています。
もちろん、遺伝したからといって必ず抜け毛が増えたり薄毛になったりするわけではありませんが、抜け毛・薄毛の遺伝子を持たない人よりも髪の毛が抜けやすく、薄毛になりやすいことは想像に難くありません。
男性に多い抜け毛の原因
それでは、特に多い抜け毛の原因を性別ごとに見ていきましょう。
男性の場合は男性型脱毛症(AGA)による脱毛が多いとされています。
男性型脱毛症(AGA)
男性型脱毛症(AGA)は次のような症状です。
成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。
AGA-news http://www.aga-news.jp/secure/about_aga/index.xhtml
男性型脱毛症(AGA)は遺伝や男性ホルモンによって起きると考えられています。
男性型脱毛症(AGA)は、放っておくと進行するのも特徴です。
男性型脱毛症(AGA)を発症すると、髪が太く長く成長しにくくなって、髪の毛が細く短くなります。また、太く長く成長する前に抜けてしまうことも増えます。
結果として全体的に髪のボリュームが少なくなるため、脱毛・薄毛の症状が見られるようになるのです。
ただし、毛根が残っている限りは、太く長い髪の毛が再び生えてくる可能性があります。諦める前に一度専門のクリニックに相談してみましょう。
男性型脱毛症(AGA)の症状の現れ方には3つのタイプがあります。
①頭頂部から脱毛が見られるタイプ
頭のてっぺんから脱毛が見られます。側頭部や前頭部の脱毛が少ないタイプです。
②前頭部から脱毛が見られるタイプ
前髪の部分から徐々に後退していくタイプです。
③額の生え際から脱毛が見られるタイプ
生え際からM字型に症状が進行していくタイプです。
いずれのタイプも放っておくとすべての髪の毛が抜け落ちてしまいます。
男性型脱毛症(AGA)は進行の度合いが比較的ゆっくりですが、気付いたらできるだけ早く治療を開始したほうが良いことはいうまでもありません。
男性型脱毛症(AGA)を完治させて、発症前の状態にすることは現在の医療技術では不可能ですが、進行を遅らせたり進行を食い止めたりすることができます。
男性型脱毛症(AGA)の治療は、皮膚科や美容外科、男性型脱毛症(AGA)専門クリニックなどで受けることができるので、まずは以下のサイトで最寄りのクリニックを探してみてください。
AGA-news 病院検索
http://pkg.navitime.co.jp/aga-news/
女性に多い抜け毛の原因
では、女性の場合はどうでしょうか?
女性の抜け毛には、女性ならではの原因があります。
エストロゲンの減少などホルモンバランスの乱れ
女性の場合、男性と違って妊娠・出産、閉経などで大きくホルモンバランスが乱れます。
このホルモンバランスの乱れが抜け毛の原因となることも珍しくありません。
また、ピルを服用している人も、ホルモンバランスの乱れから抜け毛に悩まされることがあります。
間違ったヘアケア・頭皮ケア
女性の場合、男性よりも頻繁に髪のお手入れをするかと思います。
トリートメントやヘアカラーなどが頭皮へのダメージになって、抜け毛を誘発していることも珍しくありません。
特にシャンプーのしすぎは抜け毛を増やすことにつながります。1日に何度も髪を洗うと、頭皮の環境が悪化しかねません。
このほかにも生活習慣の乱れやストレスで抜け毛が増えることがあります。
自宅でできる抜け毛対策5選
抜け毛が増えてきたな、と思ったらどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、自宅でできる抜け毛対策を5つご紹介します。
1.シャンプーやコンディショナーを変える
まず、シャンプーやコンディショナーを変えてみましょう。
できるだけ刺激が少ないタイプのものを使うのがポイントです。
そのうえで、シャンプーの仕方も見直してみましょう。
乾いた髪に直接シャンプーをしていませんか?
シャンプーをするときは、髪の毛と頭皮を十分に濡らしてから、手でシャンプーを泡立てて洗うようにしましょう。
頭を濡らすときに頭皮を揉むようにしてある程度汚れを落としておくと、シャンプーの泡立ちも良くなります。
洗うときは、指の腹で頭皮をマッサージするように洗うのがポイントです。
髪の毛を洗うというよりは、「頭皮を洗う」イメージでシャンプーをするようにしましょう。
2.生活習慣を見直す
生活習慣を見直すことも大切です。
バランスの良い食事と充分な睡眠が取れているかチェックしてみましょう。
食事は肉や炭水化物だけでなく、野菜や魚もバランスよく食べていますか?
健やかな髪の毛にはたっぷりの栄養が必要不可欠です。
バランスの良い食事を心がけ、毛根にしっかりと栄養が届くようにしましょう。
睡眠時間も重要なポイントです。
睡眠中は髪の毛が最も成長する時間です。睡眠時間が足りないと健康な髪の毛が育ちにくくなります。
早寝早起きを心がけ、しっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。
3.ストレスを溜めすぎないように心がける
ストレスが溜まると抜け毛は増えます。
ストレスを溜めすぎないように心がけるのも重要です。
体を動かしたり、趣味に打ち込んだりしてこまめにストレスを発散しましょう。
4.抜け毛を気にしすぎないようにする
抜け毛を気にしすぎないことも、抜け毛対策になります。
「また抜けた……」
「また増えている気がする……」
と考えるのはストップしましょう。気にしすぎると、それがストレスになってかえって抜け毛が増えることにつながります。
「毛は、健康な毛でも3年から6年で抜けるもの」と思い、あまり深刻に考えすぎないようにするのも大切です。
5.紫外線対策を万全にする
紫外線は肌にダメージを与えます。
頭は体の中で最も太陽に近い部分なので、紫外線から受けるダメージも多くなりがちです。
抜け毛が気になるときは、紫外線対策を万全にしましょう。
帽子をかぶったり、日傘をさしたりすることで、頭皮へのダメージを減らすことができます。
一人で悩まず医師に相談しよう!
抜け毛が気になったら、食生活を見直したり、ヘアケアの方法を変えてみたりすることも重要ですが、勇気を出して医師に相談することも大切です。
抜け毛の背後に病気が隠れている場合もあります。
抜け毛が多くなってきたな、と思ったら皮膚科や美容外科、男性脱毛症(AGA)専門クリニックを訪ねてみましょう。
一人で考えていても抜け毛は改善しないことがほとんどです。原因をはっきりさせるためにも医師の診察を受けることは抜け毛改善に有効です。