子供も抜け毛に悩むことがある
「成長期の子供も抜け毛で悩むことがある」と聞いて、不思議に思う大人も多いかもしれません。
しかし、子供の抜け毛の悩みというのは、意外とポピュラーなものです。
子供によっては10代になる前に脱毛の症状が見られることもあります。
「子供なんだからそのうち治るさ」と気楽に構えて放っておくのはおすすめしません。
一方で「抜け毛がひどくなったらどうしましょう!?」と慌てふためくのも良いこととは言えません。
まず、子供にとって抜け毛がどういったものなのかを知ることから始めましょう。
子供だからこそつらいことも……
大人であれば、指をさして「ハゲているぞ!」「変な髪型だ!」などと言われることは少なくないと思います。
もし言われたとしても、そのような言動をした人の方が周囲の人に白い目で見られるでしょう。
しかし、子供は違います。
まだ未熟だからこそ、思ったことを正直に口に出したり行動に表したりしてしまいます。
特に子供は「周囲と違いがある子」に対して敏感です。
子供の抜け毛は、子供だからこそからかいやいじめの対象になることもあるので、なるべく早めにケアをすることが重要になってきます。
なぜなら、からかいやいじめで心が傷ついた結果、対人恐怖症などを発症したり、自分を大切にする気持ちが育たなくなってしまうこともあるからです。
子供の健全な発育のためにも、「子供だからそのうち何とかなるさ」と楽天的に考えすぎず、きちんとケアを行うようにしてください。
子供の抜け毛の原因は?
子供の抜け毛は放っておくべきでないことはお話しましたが、では、子供の抜け毛の原因は何でしょうか?
子供の抜け毛の主な原因には、次の3つが考えられます。
①子供の円形脱毛症
円形脱毛症は、一種の自己免疫疾患です。
普段はウイルスや細菌から私たちの体を守ってくれている免疫細胞が、髪の毛を作る細胞を間違って攻撃してしまうことで起こります。
初期症状では10円玉ぐらいの脱毛箇所が見られますが、放っておくとどんどん進行して、範囲が広くなっていきます。
子供によっては、すね毛など他の箇所にも脱毛が見られることがあるので、「おかしいな」と思ったら皮膚科を受診することが重要です。
②ストレスによる抜毛症
大きなストレスを感じると、自分で自分の髪の毛を抜いてしまう「抜毛症」を発症する子供もいます。
抜毛症の背後には、大きなストレスが隠れているので、治療に時間がかかることも珍しくありません。
子供は大人に比べて自分の気持ちを言葉で表現することがまだ上手にできません。
もし子供が自分で自分の髪の毛を抜いているのを見かけた場合は、子供の話をよく聞くなど密なコミュニケーションを図るようにしましょう。
また、抜いているその場に居合わせたら「また抜いてる!止めなさい!」ではなく、他のことに気を逸らせる声掛けをするようにしましょう。
「そういえば宿題は終わったの?」
「今日の晩御飯は何が食べたい?」
など本人の興味を毛を抜くことから逸らす声掛けがポイントです。
③生活習慣・食生活の乱れ
夜更かしなどの食生活や生活習慣の乱れが抜け毛の原因になっていることもあります。
髪の毛を作るには、豊富な栄養が必要です。
食生活が乱れると、髪の毛を作るのに必要なたんぱく質や亜鉛、ビタミンといった栄養素が不足してしまいます。
また、遅寝遅起きなど、生活習慣が乱れると全身の血行が悪くなったり、ホルモンバランスが乱れたりして、髪を作る細胞に栄養が十分行き渡らなくなってしまいます。
その結果、健やかな髪の毛が育ちにくくなり、髪の毛のサイクル(ヘアサイクル)が乱れて、脱毛が起こると考えられているのです。
子供の抜け毛に気づいたら
では、子供の抜け毛に気付いたらどうすれば良いのでしょうか?
子供の抜け毛は、できるだけ早く対策を行ったほうが良いといえます。
子供自身が抜け毛をひどく気にしてコンプレックスを抱いてしまう前に、できるだけ親が抜け毛と心のケアを行いましょう。
①原因を特定しよう!
髪の毛には寿命があるので、自然に抜けることもあります。自然な抜け毛は心配ありませんが、抜け毛の量が極端に多かったり、子供の頭に脱毛箇所が見られた場合は、その原因を特定しましょう。
原因によってどんな治療をすれば良いのかが変わってきます。
原因の特定のためには、病院を受診するのが確実です。どの科を受診して良いかわからない場合は、かかりつけの小児科で相談してみましょう。
決して自己判断でその場限りの対策を行うのではなく、根本治療を行うためのアクションを起こしましょう。
②病院を受診してきちんと治療を受けよう!
子供の抜け毛に気づいたら、まずは皮膚科を受診しましょう。
抜け毛の専門外来ではありませんが、専門外来でないからこそハードルも低いのではないでしょうか。
子供の抜け毛は、自己肯定感の低下にもつながるため、できるだけ早くケアを始めることが大切です。
もし抜け毛の背後に大きなストレスが考えられる場合は、子供の心に詳しい精神科の受診なども視野に入れるようにしましょう。
③ストレスケアを心がけよう!
子供の抜け毛の背後には大きなストレスが隠れている場合があります。
ストレスによる抜け毛を改善するためには、ストレスを解消することが必要不可欠です。
体を動かしたり、子供の好きなことに熱中する時間を作ったりして、ストレスケアを心がけてください。
もちろん、親子のコミュニケーションも大切です。
子供が悩みを打ち明けやすい親子関係づくりにも気を配り、必要があればカウンセラーのカウンセリングを受けるなどして、ストレスと上手に付き合っていく方法を見つけましょう。
④生活習慣・食生活を見直そう!
もし子供が夜更かしをしていたり、お菓子ばかりを食べていたりするのであれば、その改善が抜け毛対策につながるかもしれません。
夜更かしをしているのであれば、早く寝られるような工夫をしましょう。寝る直前までゲームなどをするのはおすすめしません。
髪の毛を作る成長ホルモンの分泌は、22時から2時の間に活発になります。その時間は布団の中でぐっすりと眠っているのが理想です。
食生活の見直しも大切です。バランスの良い食事を心がけ、栄養が偏らないように気を付けましょう。
子供の健康は、毎日の食事が作ります。
忙しいとは思いますが、まずはお父さんやお母さんをはじめとした周囲の大人が、子供が栄養たっぷりの食事を摂れるように工夫してあげてください。
子供の抜け毛には大人も目配り気配りを
子供の抜け毛は、大人が思っているより子供にとって深刻な悩みであることが少なくありません。
子供の抜け毛に気づいたら、できるだけ早くケアを始めるようにしましょう。
また、抜け毛を予防するためにも、普段から生活習慣や食生活に気を配るだけでなく、ストレス解消にも気を配ってください。
子供は大人と違って、自分の症状を上手く言葉で表現することができない場合があります。
周囲の大人が目配り・気配りを行って、子供の抜け毛の早期発見に努めるのも子供の抜け毛対策として有効です。
一方で、楽観しすぎも問題ですが、深刻に考えすぎるのも問題です。親も子供も深刻に受け止めすぎると、それがかえってストレスになって症状を悪化させてしまうことがあります。
抜け毛のケアは長期戦になることが珍しくないので、「治るまでは時間がかかるものだ」とある程度のおおらかに構えるようにしましょう。