漢方薬がダイエットに良いのはなぜ?
最近では、ドラッグストアなどに行くと「肥満に良い」という触れ込みでいろいろな漢方薬をベースにした市販薬が販売されています。
漢方薬は西洋薬に比べて独特の香りと味があり、決して飲みやすいものではありませんよね。
また、西洋薬のように即効性が無いため、2~3日飲んだだけでははっきりとした効果を実感できていない人もいることでしょう。
しかし、漢方薬は体質改善に優れた効果があることがわかっています。
というのも、漢方薬が体全体のバランスを整え、弱っているところを元気に、元気が有り余っているところは少し働きを控えめにしてくれるからです。
漢方では、「気(体と心のエネルギー)」「血(血液中の栄養や血の巡り)」「水(水分の量や水分の巡り)」の3つをベースに体の状態を見ていきます。
これら3つの要素のバランスが崩れると、体に不調が出ると考えられているのです。
漢方薬は、一人ひとりの体調などに合わせて様々な生薬をブレンドした薬を使って、この3つのバランスを少しずつゆっくりと整えていきます。
少しずつゆっくりと体質が変わっていくため、しばらく飲み続けなければ効果が表れず、効果も少しずつ表れてくるのが特徴です。
体に無理のないペースで少しずつ気・血・水のバランスを整えていくので、西洋薬に比べて副作用が起きにくく、西洋薬では対処できない症状や体質改善にも効果があるとされています。
痩せないのは代謝が悪くなっているから
ダイエットをしている人の中には、食事制限も運動もしっかり行っているのになかなか痩せず悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
なかなか痩せない原因の一つに、代謝の低下が挙げられます。
代謝とは簡単にいうと「食べたものをエネルギーに変えたり、余分なものを体の外に排出する働き」のことです。
何かしらの影響で代謝が悪くなると、食べたものから上手にエネルギーを作り出せなくなったり、体の中に余分なものを溜め込みがちになったりします。
すると、不足しているエネルギーを補うためについ食べ過ぎてしまったり、老廃物や余分な水分が体の中に溜まってむくんでしまったりするのです。
代謝を改善すれば、徐々にエネルギー不足やむくみも改善されてきます。
代謝を改善するには気・血・水のバランスを整え、体全体の調子を整えてくれる漢方薬が最適です。
「ダイエットをしているのになかなか痩せない」というときは、少しだけ漢方の力を借りてみましょう。
肥満の4つのタイプ
漢方薬を飲む前に、まずは自分の肥満のタイプについて知っておきましょう。
漢方薬は、一人ひとりの体質に合わせて処方されます。
だからこそ、自分の体質=肥満のタイプを知る必要があるのです。
食べ過ぎ太りタイプ
「食べ過ぎ太りタイプ」の人は食欲旺盛で、つい食べ過ぎてしまうタイプです。
当然カロリーオーバーの状態が続くので、どんどん太ってしまいます。
また、体の中に余分なものを溜め込みやすくなっているので、便秘がちな人も少なくありません。
漢方の観点から見ると、「食べ過ぎ太りタイプ」の人は胃の機能がオーバーヒートして、食べても食べても満足感が得られない「胃熱」の状態です。
性格的には元気でエネルギッシュな人が多く、食べることで有り余るエネルギーを発散している部分も見受けられます。
食欲を抑えるために胃熱を取る漢方薬を服用するのはもちろん、有り余るエネルギーをスポーツなどで上手に発散するよう工夫することが大切です。
ストレス太りタイプ
「ストレス太りタイプ」の人は、生活が乱れがちだったり、ストレスを溜め込みやすいタイプの人です。
食べることでストレスを解消している面があり、ストレスが強くなればなるほど食べる量も増え、カロリーオーバーになりやすい傾向があります。
食べても食べても満腹感が得られないことも珍しくなく、日常的な食べ過ぎで胃の機能がオーバーヒートして胃熱が発生し、さらに食欲が増すという悪循環に陥っている場合があるので、まずはストレスを和らげるとともに胃熱を取ることが大切です。
このタイプの人は、一つのことを長く続けるのが難しかったり、細かいことが気になったりする性格の人が多いとされています。
普段から生活のリズムを一定に保ち、必要以上にストレスを抱え込まないよう工夫することが大切です。
水太りタイプ
「水太りタイプ」の人は、食べ過ぎ太りタイプの人に比べるとどこかぽっちゃりとした印象があります。
決して食べ過ぎているわけではなく、むしろ人よりも食べる量が少ないのに太るという人は「水太りタイプ」の可能性が高いです。
「水太りタイプ」は、筋肉が少ないため疲れやすく、何もしなくても消費されるカロリーの量も低い傾向にあります。
あまり食事を食べないため胃腸の働きも低下しがちです。
このタイプの人は、無理のない範囲で体を動かして筋肉を付け、基礎代謝量をアップさせることがダイエットのカギになります。
冷え太りタイプ
冷え性の女性に多いタイプが「冷え太りタイプ」です。
体が冷えると血液の流れが悪くなり、余分な水分が体の中に溜まりやすくなります。
その結果、手足がむくんで太く見えてしまいがちです。
また、女性は男性に比べて貧血になりやすいとされています。
貧血になると体が栄養不足の状態になり、血行が悪くなるだけでなく、代謝も低下してしまうので普段から貧血には気を付けるようにしましょう。
このタイプの人は、体を内側から温め、血液の流れを良くすることが重要です。血液の流れが良くなることで、徐々に水分の代謝も良くなり、むくみも改善していきます。
ダイエットに使われる代表的な漢方薬
それでは、ダイエットに使われる代表的な漢方薬を4つご紹介しましょう。
防風通聖散
「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」は、おなかがぽっこりと出ていて、便秘がちな人に用いられることが多い漢方薬です。
胃熱を取る働きがあり、「食べ過ぎ太りタイプ」など食欲がコントロールできない人にも向いています。
現在「肥満に効果がある」として市販されている医薬品の多くが、この「防風通聖散」をベースにした薬です。
大柴胡湯
「大柴胡湯(ダイサイコトウ)」は、神経質で細かいことが気になる「ストレス太りタイプ」の人によく処方される漢方薬です。
ストレスが溜まっている状態を、漢方では「気滞(きたい)」といいます。
「大柴胡湯」は、この滞っている気の流れをスムーズにしてストレスを和らげ、気・血・水のバランスを整えてくれるだけでなく、胃熱を取って食欲を抑えてくれる処方です。
防己黄耆湯
「防己黄耆湯(ボウイオウギトウ)」は、水分の代謝が滞っている人に処方されることが多い漢方薬です。
胃腸を元気にすることで食べ物からエネルギーを作る力をアップさせるのはもちろん、エネルギーを上手に使えるようサポートしてくれます。
結果として疲れにくなるだけでなく、水分の代謝も良くなるため、
- ・暑くないのに汗をかく
- ・水分の摂り過ぎでむくむ
といった症状の緩和にも効果があります。
当帰芍薬散
「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」は、体を温める効果がある漢方薬です。古くから女性の不調に用いられてきました。
「当帰芍薬散」には、体を温める効果だけでなく、水分の代謝を良くする効果もあります。
そのため、冷え性が原因でむくんでいる人には特に良いとされている漢方薬です。
体が温まることで血行が良くなり、水分の代謝が良くなります。
水分の代謝が良くなると、体の中から余分な水分が排出され、さらに血液の巡りが良くなるという好循環が起こるので、つらい冷え性やむくみに悩んでいる人に特におすすめです。
体質に合った漢方薬で代謝アップ!
漢方薬は、一人ひとりの体質に合わせてオーダーメイドで調合することができる薬です。
体質によっては、今回ご紹介した処方以外の漢方薬が合う場合もあるので、気になる場合は一度漢方薬剤師の居る薬局や、漢方外来などがある病院を訪ねてみましょう。
最近では、製薬会社の公式サイトで簡単に自分に合う漢方を見つけることもできます。
漢方薬を飲んでみたいと思ったら、購入前に一度チェックしてみてくださいね。
参考公式サイト:Kracie 漢方セラピー