馬油ってどんなもの?
皆さんは、馬肉を食べたことはありますか?
牛や豚ほどメジャーな食材ではありませんが、ソーセージなどの加工食品にはよく使われ、馬刺しは高級食品としても知られていますよね。
ここで注目してほしいのが、馬肉に含まれる脂です。
馬油は、馬の首や腹の皮下脂肪から作られた油脂で、牛や豚の脂に比べ、オレイン酸やパルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
日本や中国では、馬油は民間療法の治療薬として古くから使われてきました。
中国最古の医学書である「黄帝内経」でも馬油の効能について触れられており、肌荒れに効果があるとされているのです。
日本では、特に火傷の治療薬として重宝されました。
その他、肌荒れ・あかぎれ・切り傷など、肌トラブルなら何でもOKというくらい使われてきた歴史があります。
スキンケア用品としての馬油の特徴は、とにかく肌によくなじむこと。
これは、成分が人間の皮脂に近く、融点も30℃~43℃と低いからです。
塗り始めはベタベタした感じがするものの、すぐに浸透してサラッとした肌になります。
そのため、豊富な有効成分が皮膚に吸収されやすく、安全性も高いのです。
このような特徴に注目して、馬肉の生産量日本一を誇る熊本県では、馬油入りの化粧品やシャンプー、石鹸などを開発・販売しています。
ネット通販でも手に入るので、興味のある人はぜひ探してみてください。
馬油に育毛効果があるって本当?
馬油は民間療法で用いられてきただけあって、育毛に良いとされる効果がいくつもあります。
主な効果を紹介しましょう。
頭皮の保湿
乾燥した頭皮は機能が低下し、髪も元気を失っている状態です。
馬油を頭皮に塗れば油膜ができて、水分の蒸発を防ぐことができます。
その結果、頭皮に十分な水分を留めることができ、機能の回復につながるのです。
血行促進
古くから馬油には、体を温める効能があるとされてきました。
これは、油膜が熱が逃げるのを防ぐとともに、豊富な不飽和脂肪酸が血行を促進するからだと考えられています。
頭皮に塗って血行を促進すれば、頭皮のすみずみにまで栄養と酸素が行き渡り、髪の成長の活性化が期待できるのです。
抗炎症作用、抗菌作用
馬油が火傷に効くとされてきたのは、炎症を鎮める作用があるからです。
これは頭皮の炎症治療にも効果的で、雑菌が繁殖して起きる毛穴の炎症を鎮め、頭皮の機能改善が期待できます。
また、油膜が雑菌の侵入を防ぐため、雑菌が繁殖しにくい頭皮作りにもつながるのです。
馬油を育毛ケアに使用する際の注意点
馬油には多くの育毛効果が期待でき、しかも高い安全性を誇ります。
とはいえ、注意点がないわけではありません。
以下の点に気を付けて使用してください。
医学的な効果は認められていない
馬油の効能は、あくまでも民間療法として伝えられてきたものです。
血行促進や抗菌作用、抗炎症作用については、医学的に大きな効果が認められたわけではありません。
また、AGA(男性型脱毛症)を抑制できる成分も含まれていないので、馬油に過度の期待をするのは禁物です。
馬油を使用する時は髪の成長補助をメインとし、症状が重ければ専門クリニックへ行きましょう。
酸化に注意
肌になじみやすいとはいえ、馬油も立派な油脂です。
日光を浴びれば酸化して固くなり、皮膚にダメージを与え、嫌な臭いや黒ずみも発生します。
入浴後や寝る前のケアに使うのがおすすめです。
冷暗所で保存する
馬油は融点が低いため、夏場は簡単に溶けてしまいます。
必ず冷暗所に保存しましょう。
もし溶かしてしまった場合は、成分が変質している可能性があるため、使用しないでください。
馬アレルギーの人は使用しない
馬油は馬由来の成分なので、馬アレルギーの人が使用すると、発疹やかゆみなどの症状が現れることがあります。
乗馬をしたり馬肉を食べたりした時に体調を崩した経験のある人は、馬油を使用しないでください。
これらの経験がない人でも、初めて馬油を使用する時は少しだけ付けて様子を見ましょう。
馬油を使って、優しく育毛ケアをしよう
馬油は、民間療法として受け継がれてきた貴重な育毛製品です。
正しく使えば、その優れた効能によって、髪の成長を助けることができます。
頭皮の乾燥だけでなく、発疹や肌荒れなどの肌トラブル全般に使えるのが大きなメリットです。
皮膚が弱くて他のケア用品を避けていた人は、ぜひ馬油を試してみてください。